随時改定の落とし穴 徹底的に搾取する仕組み

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今回は社会保険料の随時改定について解説します。

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定時決定について理解してから以下の記事を読むことをお勧めしますので、定時決定についてよくわからないという方はこちらの記事をご覧ください。

社会保険料はどのように決定されるのか 3月~5月の残業に注意

 

基本的には定時決定により9月から翌年の8月までの1年間の社会保険料が決まるのですが、昇給等により固定給の変動があった場合は見直しが行われる場合があり、これを随時改定といいます。

随時改定は次に示す条件を満たしている場合に行われます。

 

  1. 昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった。
  2. 変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
  3. 3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

 

この3つの条件を全て満たしている場合に随時改定が行われます。

 

固定的賃金には基本給、役職手当、通勤手当、住居手当等が含まれます。

これらの変動があって尚且つ2等級以上の差が生じた場合に行われるため、固定給の変動が無く残業代が増えただけでは随時改定の対象にはなりません。

 

上記の3つの条件を読んだだけではわかりませんが、大きな落とし穴があるので、次のケースを見てみましょう。

昇給が10月という方の事例です。

3~5月は忙しく、定時決定でかなり等級が上がってしまいましたが、その後10月になって昇給したものの残業はそれほどなく、結果的に10月~12月の3ヶ月の報酬の平均が2等級以上下がってしまったというケースです。

この場合は上記の条件を見る限り随時決定の対象になりそうなのですが、結論を言ってしまうと随時改定の対象にはなりません。

もし10月に固定的賃金が下がっていれば随時改定の対象になったのですが、昇給により固定的賃金が上がってしまったため、等級が上がる方向にしか改定されません。

つまり、昇給等により固定的賃金が上がった場合、随時改定では等級が上がる方向にしか改定されず、逆に固定的賃金が下がった場合には随時改定で等級が下がる方向にしか改定されないということです。

4月昇給ではない方で、昇給はするものの残業代が減り2等級以上下がるために社会保険料が安くなることを期待していた方にとっては大変残念ですが、このように徹底的に搾取する仕組みなので注意しましょう。

 

また、4月昇給の方が多いかと思いますが、その場合4~6月の報酬で標準報酬月額が決まり、それまでの等級よりも2等級以上上がってしまった場合、定時改定は行われず、随時改定が行われることになり、7月から翌年8月までの社会保険料が上がってしまうので、このような方は特に等級が上がらないように気を付けたいところです。

 

少し残業代を削れば差が1等級以内に収まるのであれば、あえて時間外の申請をしない方(サービス残業)が後々の手取りの減少を抑えられるためまだ損をせずに済みます。

2等級も上がった場合、報酬が月20万円~38万円のケースでは年間でおよそ70,000円も手取りが減ってしまいます。

定時決定の時期は残業を減らし、随時改定の時期は定時決定の時期よりも少し多めに残業し、それ以外の時期にしっかり残業して稼ぐのが最も損をしないということです。

社会保険料の決定に関わる時期は極力働かずにプライベートを充実させたいものですね。

働いたところでそれはタダ働きですから。

よく計算し、賢い選択をするとよいでしょう。

等級が1つ上がった場合、増えた保険料を回収するには何歳まで長生きすればよいのか計算し、次回お伝えします。

 

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