コロナ禍の混乱は落ち着きつつある2023年秋現在、派遣就業を希望する薬剤師は増加傾向です。
2022年度の処方箋枚数は推計8億枚程度と、コロナ前の水準にほぼ戻ってきています。
新型コロナウィルス感染症の日本国内での流行が始まった2020年は処方箋枚数が大きく落ち込んだために派遣が切られ、それでも薬剤師が余剰ならばパートが切られて正社員の雇用を守るという雇用の調整がされたため、多くの派遣薬剤師が雇い止めになり、派遣の世界から消えました。
非正規の労働者は、雇用の調整弁として便利に使い捨てにされるものです。
派遣という非正規の不安定な身分で働く以上、このようなリスクは覚悟しなければなりません。
2020年の悲劇については関連記事を参照してください。
関連記事
2020年に雇い止めになり消えた派遣薬剤師が、派遣の世界に少しずつ戻ってきていますが、戻ってこられた薬剤師は臨床的な知識のみならず保険に関する知識も豊富で、厚生局の個別指導に関してもある程度詳しい等、まさしく即戦力といえるような人材が2022年頃までは多かったような印象です。
服薬指導がろくにできない、薬歴もろくに書けずに誰でもできる調剤等単純作業しかできない派遣もコロナ前は多かったのですが、このような低レベルの薬剤師が派遣復帰するのは難しかった状況です。
そのため、求人数に対して派遣薬剤師の数が圧倒的に足りない状態でした。
しかし、ほぼコロナ前と同程度の水準にまで処方箋枚数が回復しているためか求人数が増えて、2023年現在はレベルの低い薬剤師でも派遣就業できています。
私自身、様々な派遣先で就業してきましたが、よく言われるのは
「やっぱり派遣の人はできるんですね。」「色々と詳しくて何でもできるし、頼りになります。」
等の、派遣は何でも対応できる即戦力というイメージに基づく声です。
しかし、実際の保険薬局やドラッグストアにおける薬剤師の業務内容について考えてみてください。
国が求めるレベルの業務内容からは程遠い低レベルの内容ですよね。
薬歴の記載内容から薬剤師のレベルがある程度わかるものですが、例えば新規の薬剤が出ていた場合でも、
S:新しい薬が出ると聞いている。
O:新規薬剤追加
A:新規薬剤のため説明が必要。
P:(定型文貼り付け)
このように、症状等の聞き取りやL/Dの確認及び処方内容の評価等が一切なく、全く中身のない薬歴でも何とかなってしまってるのが実態です。
残念ながら、国が求めるレベルには程遠い低レベルの薬剤師でもどうにかこなせてしまうのが現在の保険薬局における薬剤師業務の現実なんです。
もちろん、個別指導が入った場合には経過観察にもならないでしょう。
どうせハイリスクに関してはほぼ返金しろと言われるんでしょうね。
この程度のレベルの薬歴を見ることが非常に多かったので、全体的に保険薬局の薬剤師のレベルの低さには驚かされました。
10以上の保険薬局を見てきましたが、本当に優秀な薬剤師は片手で数える程しか見たことがありません。
派遣に関しても、この程度のレベルでも通用します。
クレームを派遣会社に入れられたり、トラブルを起こしたりしなければ契約が続く可能性があります。
その程度のレベルです。
服薬指導も薬歴も、いい加減にごまかしながらやってる薬剤師は残念ながら多いので、これでも通用してしまいます。
このレベルでもやっていける時代があと何年続くのでしょうかね・・・
派遣会社の営業担当としても、高いスキルは必要なくそこそこのレベルで十分。
トラブルを起こしたりクレームを入れられなければそれでいいという感じですね。
私の個人的な意見としては、薬剤師としての能力だけではなく、金融リテラシーや雇用保険等の労働関係法規について深い見識を備え、上手に活用できるだけの実力を身に付けて組織に依存せずとも自分自身の力で稼ぎ資産を形成することができること、不安定な身分だからこそ自分自身のリスクマネジメントができることは必須だと考えております。
今後も数年は処方箋枚数の増加傾向が続くと予想されますが、調剤報酬改定の影響で特に大手は請求金額を下げてくる可能性は十分にあります。
時給4000円以上の高時給は出なくなる可能性がありますので、派遣就業を考えるならば、調剤報酬改定が大手に与える影響がどの程度のものかをよく見て考えた方がよいと思います。
関連記事
薬剤師の転職(派遣含む)は紹介会社を活用せよ 高時給の3社を紹介
時給4000円、年収800万以上多数 家賃会社負担 薬剤師の住居付き派遣の世界とは