国税庁の平成29年分民間給与実態統計調査によれば、2017年のサラリーマンの平均年収は432万円(前年比2.5%増)であるとのデータが示されたのですが、これが果たして並なのでしょうか。
公表されたデータを基に実態はどのようなものであるかを考えます。
ここで示された平均年収432万円とは、正規雇用だけではなく非正規も含んでおり、正規の平均年収は494万円、非正規の平均年収は175万円という結果です。
この数字は並であり、普通なのでしょうか。
平均で示されていると、資本主義国家においては突出して高い収入を得ている人がいるためにその数字は大きくなってしまいます。
こんなものかなと納得のいく数値は中央値でしょう。
残念ながら中央値は公表されていませんが、370万円程度(もう少し低いかもしれない)と推定されます。
この年収が人並みということになるでしょう。
平均と中央値では大きな差があります。
国は国民が富んでいると思わせたいがためにあえて数値が高くなる平均年収を示しています。
「税金よりも高い社会保険料 保険料率18.3%から25.9%へ? 待ち受ける最悪のシナリオとは」の記事の中で、政府が公表する所得代替率の数字のカラクリについて触れていますが、このような数字は高くなるようにしています。
実態とは乖離した数字であり、基本的に国が公表するデータは鵜呑みにしてはいけません。
また、前年の平均年収422万円から2.5%増となっているものの、収入が増えているのは一部の人に限られ、景気が良くなっていると実感する人はそれほど多くないものと思われます。
業種別で見てみると、最も高い業種は電気・ガス・熱供給・水道業が平均年収747万円、金融業・保険業が615万円と続きます。
一方で、最も低いのは宿泊業、飲食サービス業で253万円です。
業種によって大きな差がありますが、実は全体で見ると年収が300万以下の割合は4割程度もいるのが現実です。
特に衝撃的な数字は、世帯主が40代の現役世代で300万円未満の低所得世帯の割合は約17%であるという事実です。
因みに上を見てみると、年収1000万以上の割合は4%程度です。
ご自身の収入は全体の中のどの位置になるでしょうか。
昔と違い、転職は当たり前の時代です。
60歳でリタイアできる時代ではなく、今の若い世代は75歳~80歳まで働かざるを得ない状況になるかもしれません。
数十年先を見越したキャリア形成を考え、賢い選択をしましょう。
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