65歳まで拠出可能に? 65歳まで確定拠出年金の加入延長を検討か

厚生労働省が確定拠出年金の掛け金の拠出を65歳まで可能とするよう検討するとの一部報道がありました。

確定拠出年金やNISAについては、今後も制度の拡大が予想されると私は考えます。

個人型確定拠出年金(iDeCo)については、拠出限度額の引き上げも考えられますし、つみたてNISAについては20年間の期間限定ですが、この期間の延長或いは別の類似した制度の導入、非課税枠の拡大等も考えられます。

 

今回は一部報道で延長を検討すると報じられただけではありますが、かなり現実的であると考えます。

税制面で大きく優遇される制度ですが、なぜここまで制度の拡大しようという動きがあるのでしょうか。

 

それは、公的年金の厳しい財政事情が背景にあります。

関連する記事がありますので、是非読んでみてください。

 

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税金よりも高い社会保険料 保険料率18.3%から25.9%へ? 待ち受ける最悪のシナリオとは

社会保険料多く納めた分を回収するには92歳以上生きることに?損をしない方法は

月々の社会保険料は標準報酬月額によって決まりますが、これまでの記事では社会保険料の仕組みを解説し、等級を可能な限り上げない方がよいとの考えを述べてきました。

 

参考記事

社会保険料はどのように決定されるのか 3月~5月の残業に注意

随時改定の落とし穴 徹底的に搾取する仕組み

 

しかしながら、業務量が多ければどうしても等級は上がってしまうものです。

等級が上がることによる支出増とそれに伴う年金給付額の増加による収入増を考え、保険料が上がった分を回収するには何歳まで生きることになるのかシミュレーションしてみましょう。

 

1階部分の国民年金(老齢基礎年金)は納めた金額ではなく加入した年数で決まります。

20歳から60歳まで、最大40年間納めることができ、その受け取る額は

2万円×納めた年数

で決まります。

 

一方で、2階部分の厚生年金は納めた額により決まります。

標準報酬月額が決まり月々の保険料が固定され、さらに賞与からも保険料率を掛けた分が天引きされ、強制的に納付することになります。

今回は標準報酬月額が上がり、それに伴って等級が上がった場合の手取り減少分を回収するのに何年かかるかをシミュレーションします。

標準報酬月額が20万~38万円の場合、2万円ごとに等級が上がっていきます。

社会保険料は概ね15%負担し、その分手取りが減ります。

2万円×0.15=3,000円

等級が1つ上がると月に3,000円、年間で36,000円程度手取りが減ることになります。

将来受け取る年金は、65歳から受け取る場合で考えると

20,000円×12×0.0055=1,320円

年間で1,320円増えることになります。

年間36,000円手取りが減る代わりに年間1,320円年金の受取額が増えるので、

36,000÷1,320=27.2727・・・

手取りの減少分を回収するためには27年以上かかる計算になります。

つまり、92歳以上生きなければ回収できないということです。

そこまで長生きできるかどうかわかりませんし、今後はさらに状況が悪化するものと考えられるため、極力保険料を抑えて投資によって資産を形成した方が賢いのではないかと考えます。

 

厚生年金は確かに納めた金額に比例して将来受け取る年金額も増えていきますが、基礎年金は加入した期間に比例して年金給付額が増える仕組みです。

そのため、高卒で社会人となった場合のような低所得者層に優しい制度であるといえます。

 

現代の若者が年金を受け取る頃には、公的年金は改悪に改悪を重ねて公的年金だけで暮らしていくのは困難になることが予想されます。

若いうちから数十年先を見越した正しい資産形成をすることで老後破産を回避することができますから、個人型確定拠出年金(iDeCo)、つみたてNISAといった制度を利用し賢く資産を築いてくことをお勧めします。

 

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なぜ国はiDeCoやつみたてNISAの積極的な利用を勧めるのか②

随時改定の落とし穴 徹底的に搾取する仕組み

今回は社会保険料の随時改定について解説します。

定時決定について理解してから以下の記事を読むことをお勧めしますので、定時決定についてよくわからないという方はこちらの記事をご覧ください。

社会保険料はどのように決定されるのか 3月~5月の残業に注意

 

基本的には定時決定により9月から翌年の8月までの1年間の社会保険料が決まるのですが、昇給等により固定給の変動があった場合は見直しが行われる場合があり、これを随時改定といいます。

随時改定は次に示す条件を満たしている場合に行われます。

 

  1. 昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった。
  2. 変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
  3. 3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

 

この3つの条件を全て満たしている場合に随時改定が行われます。

 

固定的賃金には基本給、役職手当、通勤手当、住居手当等が含まれます。

これらの変動があって尚且つ2等級以上の差が生じた場合に行われるため、固定給の変動が無く残業代が増えただけでは随時改定の対象にはなりません。

 

上記の3つの条件を読んだだけではわかりませんが、大きな落とし穴があるので、次のケースを見てみましょう。

昇給が10月という方の事例です。

3~5月は忙しく、定時決定でかなり等級が上がってしまいましたが、その後10月になって昇給したものの残業はそれほどなく、結果的に10月~12月の3ヶ月の報酬の平均が2等級以上下がってしまったというケースです。

この場合は上記の条件を見る限り随時決定の対象になりそうなのですが、結論を言ってしまうと随時改定の対象にはなりません。

もし10月に固定的賃金が下がっていれば随時改定の対象になったのですが、昇給により固定的賃金が上がってしまったため、等級が上がる方向にしか改定されません。

つまり、昇給等により固定的賃金が上がった場合、随時改定では等級が上がる方向にしか改定されず、逆に固定的賃金が下がった場合には随時改定で等級が下がる方向にしか改定されないということです。

4月昇給ではない方で、昇給はするものの残業代が減り2等級以上下がるために社会保険料が安くなることを期待していた方にとっては大変残念ですが、このように徹底的に搾取する仕組みなので注意しましょう。

 

また、4月昇給の方が多いかと思いますが、その場合4~6月の報酬で標準報酬月額が決まり、それまでの等級よりも2等級以上上がってしまった場合、定時改定は行われず、随時改定が行われることになり、7月から翌年8月までの社会保険料が上がってしまうので、このような方は特に等級が上がらないように気を付けたいところです。

 

少し残業代を削れば差が1等級以内に収まるのであれば、あえて時間外の申請をしない方(サービス残業)が後々の手取りの減少を抑えられるためまだ損をせずに済みます。

2等級も上がった場合、報酬が月20万円~38万円のケースでは年間でおよそ70,000円も手取りが減ってしまいます。

定時決定の時期は残業を減らし、随時改定の時期は定時決定の時期よりも少し多めに残業し、それ以外の時期にしっかり残業して稼ぐのが最も損をしないということです。

社会保険料の決定に関わる時期は極力働かずにプライベートを充実させたいものですね。

働いたところでそれはタダ働きですから。

よく計算し、賢い選択をするとよいでしょう。

等級が1つ上がった場合、増えた保険料を回収するには何歳まで長生きすればよいのか計算し、次回お伝えします。

社会保険料はどのように決定されるのか 3月~5月の残業に注意

社会保険料はどのように決まるのかを解説します。

 

まずはこちらの記事を読み、社会保険料について理解した上でこの記事の続きを読むことをお勧めします。

税金よりも高い社会保険料 保険料率18.3%から25.9%へ? 待ち受ける最悪のシナリオとは

 

毎月天引きされる社会保険料ですが、雇用保険料についてはそれぞれの月ごとに変動しますが、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料については標準報酬月額によって決まり、一定の金額が天引きされることになります。

標準報酬月額とは4月~6月の各月の総報酬の平均を算出し、標準報酬月額表に当てはめて決定されるもので、等級があります。

この等級によってその年の9月から翌年8月までの社会保険料が決定します。

これを定時決定といいます。

この報酬とは基本的には月の総支給額と考えてよいのですが、税と勘違いしやすい項目もあるため気を付けてください。

基本給や役職手当等の固定的賃金に加え、月々変動する残業手当や宿日直手当て等ももちろん含まれます。

さらに、非課税である通勤手当も含まれるため注意が必要です。

通勤手当は非課税だからお得だと勘違いしている方もいるようですが、確かに税の面では課税対象とならないのですが、社会保険料には影響するので、通勤手当が高い人はそれだけ手取りが減ることになります。

通勤手当が高い人は自分の儲けにならない一方で報酬には含まれるため、社会保険料が上がり手取りが減るのですが、加えて日々通勤に伴い失われる時間や労力も考慮したいところです。

 

この仕組みのいやらしい点は、4月~6月の給与で決まるという点です。

残業代は翌月支給が一般的ですから、3月~5月の残業代が影響するということです。

年度の変わり目で業務量が多くなるために残業代が高くなってしまいます。

この業務量が一般的に多い時期に設定することで、合法的に多く保険料を搾取する仕組みなのです。

3月~5月の残業が多くなり、標準報酬月額が上がり固定されたものの、その後業務量が減り、それに伴って残業代が減ってしまうと月々の給与に見合わない額の保険料が天引きされ、生活は苦しくなります。

そのため、社会保険料を抑えるためには3月~5月の残業を減らさなければなりません。

それがわかっていても実際に残業を減らすのは難しいでしょうから、この仕組みは国民から保険料を搾り取るためによく考えられていると思います。

ただし、以下の場合には特例的に通常の定時決定が行われない場合があります。

 

当年4月から6月までの3か月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額と、前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額の間に2等級以上の差を生じた場合であって、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合

 

この特例がどの程度適用されるかはわかりませんが、よく一般的に3月~5月の残業は控えて社会保険料を抑えたいということが言われていますから、該当しないケースが多いのでしょうか。

逆を言えば、3月~5月の残業を抑えてそれ以後は残業を多くしても、天引きされる社会保険料の額は変わりません。

ただし、昇給の際には注意が必要です。

随時改定という仕組みがありますが、これには落とし穴があります。

随時改定についてはこちらの記事で解説しています。

随時改定の落とし穴 徹底的に搾取する仕組み

 

標準報酬月額表に当てはめるという点についても理解しておきましょう。

東京都の標準報酬月額表を示します。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h30/ippan4gatu_2/h30413tokyo_02.pdf

 

例えば、22等級、標準報酬月額30万円の場合ですが、報酬月額が290,000~310,000の場合にはこの等級になります。

つまり、下限の29万円でも上限の31万円でも負担する保険料は同じです。

そのため、その等級の上限ギリギリに抑えるのがベストです。

月の稼ぎが20万円~38万円ならば、2万円毎に等級が変わりますから、等級が1つ上がると概ね3,000円程度月の手取りが減ります(介護保険料の負担の有無で多少は変わります)。

等級が1つ上がるだけで年間36,000円前後も手取りが減ってしまうことになります。

税金よりも高い社会保険料 保険料率18.3%から25.9%へ? 待ち受ける最悪のシナリオとは

今回は社会保険料について解説します。

給与明細を見て、思うことはないでしょうか。

厚生年金や健康保険の欄を見てください。

税金に比べて随分と高いとは思いませんか。

昇給しているのに手取りがあまり増えていないと実感されている方も多いかと思いますが、その要因の1つがこの社会保険料です。

厚生年金保険料が平成29年度まで毎年0.354%ずつ上昇し続けていたこともあり、特に高いと感じるのではないでしょうか。

「多く払っていればそれだけ多くもらえるんだからいいじゃん!」という方もいますが、果たしてそうなのでしょうか。

 

社会保険料の中で給与から天引きされるものは健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料です。

雇用保険料は、毎月の給与支給額に保険料率を乗じた額を給与から控除するため毎月変動し、賞与からも控除されます。

保険料率は一般の事業の場合、平成30年度は0.3%です。

 

協会けんぽの場合、健康保険料は都道府県により異なりますが、概ね10%程度です。

東京都は9.90%、北海道は10.25%と、多少の差はありますが、10%前後と理解しておけばよいでしょう。

 

介護保険料については全国一律で、平成30年の保険料率は1.57%です。

40歳以上65歳未満の健康保険の被保険者が負担します。

 

厚生年金保険料は毎年引き上げられてきましたが、現在の18.3%で固定になりました。

何も知らないサラリーマンには気付かれにくいよう、0.354%ずつ引き上げてきたため、初めて知った方は驚かれることでしょう。

2004年から13年間にわたり引き上げ、政府は100年後も所得代替率50%を確保すると国民に約束してきました。

所得代替率とは、現役世代の平均賃金に対する公的年金の給付額の割合であり、政府が公表する所得代替率とは現役世代の手取り収入(可処分所得であり、税、社会保険料を含まない)に対する公的年金の給付額(税、社会保険料込み)である点に注意しましょう。

つまり、分母は税、社会保険料を除いて小さくし、分子は税、社会保険料込みで大きくすることで割合を大きく見せるという数字のカラクリがあります。

結論を言うと、実質的に所得代替率が50%を下回るのは間違いないということです。

政府が公表する数字は過大評価されたものであると認識してよいでしょう。

さらに驚くべきことに2014年の財政検証で厚生労働省は、所得代替率50%を維持するには25.9%の保険料率が必要であるとし、今後さらなる引き上げの可能性が示唆されました。

財政検証は5年に1度行われるため、次は来年2019年です。

考えるだけでも恐ろしいのですが、この現実を受け止め、必要な対策を講じなければ健康で文化的な最低限度の生活を営むことさえ困難になるかもしれません。

 

話を戻しますが、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料については労使折半であるため、給与から天引きされるのは半分で、残りの半分は会社が負担します。

そのため、社会保険料は報酬の概ね15%程度天引きされます。

また、毎月変動するものではなく、標準報酬月額によって決まります。

有効求人倍率は2018年6月のデータで1.62倍となり、人手不足が深刻であるとの報道もありますが、この数字は非正規雇用を含むものです。

正社員に関しては全国で1倍を少し超える程度であり、地方では1倍を大きく割り込み深刻な状態です。

正規雇用が進まない理由の一つとして挙げられるのが、この社会保険料の負担が企業にとっても重いということです。

我々にとっても非常に重いのですが、雇う側も同じだけ負担するのですから、この社会保険料を抑えたいのは労使共通の考えであるのが一般的なのでしょうか。

正規雇用が進まないのは、社会保険料のかからない非正規で働いてもらうことでコストを抑えたいという狙いがあります。

 

ここまで社会保険料について解説してきましたが、将来的な給付額の減少、現役世代のさらなる保険料負担増を考慮すると、社会保険料の負担を抑えて可処分所得を増やし、その分で投資をするという選択が賢明ではないかと考えます。

公的年金は相互扶助の考えもありますが、合法的に搾り取るだけ搾り取られる一方でその分還元されないのであればこのような考えになるのは当然でしょう。

国の上層部の人間の無能さが招いたこの状況の尻拭いを罪の無い国民がするのはおかしいことです。

私達は最低限の義務を果たし、自分の身は自分で守るという姿勢でよいのではないでしょうか。

国家の犬にならなければならない理由はありません。

 

社会保険料を抑えるためには、社会保険料がどのように決まるのかを理解しなければなりません。

こちらの記事で解説していますので、是非ご覧ください。

社会保険料はどのように決定されるのか 3月~5月の残業に注意

 

社会保険料を抑えて投資に回すという選択が賢明であると述べましたが、税制面で優遇され、資産形成を後押しする制度として個人型確定拠出年金(iDeCo)、つみたてNISAがあります。

これらの制度は国が促進しているものですが、その理由についてはこちらの記事で解説しています。

なぜ国はiDeCoやつみたてNISAの積極的な利用を勧めるのか①

なぜ国はiDeCoやつみたてNISAの積極的な利用を勧めるのか②

2018年人事院勧告 定年延長 住居手当にも言及

8月10日、人事院は国会及び内閣に対し、国家公務員の給与の改定を勧告しました。

勧告内容通りの引き上げとなる見通しで、臨時国会で改正給与法が成立後、月給の差額分については4月分まで遡って支給されることになります。

ただし、国家公務員準拠の給与体系の職場に勤務する方も同様に4月分まで遡って支給されるとは限りませんが。

 

民間給与との差一人当たり655円(0.16%)を埋めるため俸給表の水準を引き上げるとともに、賞与を0.05月分引き上げるという勧告内容です。

特に若年層については民間との差が大きく、1000円程度の引き上げ、初任給については1500円の引き上げとなります。

若手については手厚くする一方、級及び号の高いベテラン層については400円の引き上げにとどまります。

因みに薬剤師の初任給は医療職二表2級15号俸ですが、1200円上がり209,000となる見込みです。

 

さらに、今回の勧告では住居手当の見直しについても言及があり、国家公務員の住居手当の上限は現在27,000円ですが、今後引き下げられる可能性があります。

例えば東京都では住居手当の上限は15,000円、さらには満34歳に達する年度までしか支給されないという年齢制限もあります。

まだ先の話になるのでしょうが、民間では支給されていない企業も多く、減額や支給対象に年齢制限を設ける等の方向になるのではないでしょうか。

 

さらに今回の勧告では、既定路線ではあるのですが、国家公務員の定年を引き上げ、段階的に65歳とするための国家公務員法等の改正に関する意見の申し出がありました。

役職定年を設け、給与については60歳前の7割の水準が適当であるとの意見の申し出です。

公的年金の懐事情は厳しいものであり、支給開始年齢の引き上げのために必要なのでしょう。

現在の若年層は果たして何歳まで働くことになるのか、考えたくもありませんね。

公的年金については実質的に支給額を減額していきますが、下記の記事で解説しています。

 

参考記事

なぜ国はインフレにしたいのか 生活に与える影響は

 

また、個人型確定拠出年金(iDeCo)という税制面で優遇し、年金の減額分を自助にて補うための制度についての解説もぜひご高覧いただきたいと思います。

 

参考記事

若者の資産形成に有効な制度① 個人型確定拠出年金(iDeCo)

なぜ国はiDeCoやつみたてNISAの積極的な利用を勧めるのか②

資産を10倍にする機会の損失 すぐにでもiDeCo、つみたてNISAを始めた方がよい理由

 

 

以上、2018年人事院勧告について解説しましたが、これから就職しようという学生等で公務員という進路を考えていない方でも、国家公務員の給与体系については知っておいた方がよいと考えます。

民間でも公表されていないだけで、普通は国家公務員の俸給表のような、給与を決めるシートがあり、それに基づいて給与を決定するものだからです。

また、公務員の表面上の給与は若いうちは安いように思われますが、実際にはどうなのか、そのカラクリを知ると考えが変わるかもしれません。

国家公務員の給与についてはまたの機会に解説する予定です。

個人型確定拠出年金の現状 加入者は100万に迫る勢い

2018年6月時点での個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数は94万5000人を超え、今年中にも100万人に達するのではないかという勢いで増えています。

しかし、これは対象者約6700万人に対して僅か1.4%程度の割合でしかありません。

まだまだ国民の認知度が低く、そもそも制度を知らない人が多いようです。

制度を知っていて、尚且つその節税効果の大きさを知っていても必要性についての理解が乏しいせいか、加入者数はそれほど大きく伸びていない印象です。

iDeCoの必要性、制度が始まった理由に関する考察、すぐに始めないと損をする理由については下記の記事をご覧ください。

 

参考記事

なぜ国はiDeCoやつみたてNISAの積極的な利用を勧めるのか②

資産を10倍にする機会の損失 すぐにでもiDeCo、つみたてNISAを始めた方がよい理由

 

もう少し詳しく見てみると、公務員(共済組合員)の加入率は4.2%であり、掛け金の上限額が会社員の半分程度であるにも関わらず加入率が会社員よりも高いという点です。

割合は会社員の倍に近い数字となりました。

全体の奉仕者である公務員は節税の意識が高く、お得な制度に関する情報には敏感であることがわかります。

共済年金が厚生年金に一元化されてしまったため、職域加算の廃止の分の穴埋めとしてiDeCoを活用したいという考えでしょう。

 

加入者数がまだ少ないのもそうですが、定期預金などの元本保証型の商品を選ぶ人が多く、「貯蓄から投資へ」の流れが進まないのも課題ではないでしょうか。

日本人の投資に対するイメージを変えることが出来なければ、この問題は解決しないでしょう。

インフレ傾向にあるが、その実態は・・・ 2018年6月

物価は上がっているという印象はあるでしょうか。

確かに災害や猛暑の影響で一部の食料品の価格は上がっています。

さらに、ガソリンや電気代などのエネルギー関連の上昇が目立ちます。

このようなインフレは望ましいインフレと言えるのでしょうか。

 

現在の状況はスタグフレーション(経済が停滞しているにも関わらず、物価が上昇すること)とまでは言いませんが、好ましくないと考えます。

経済が活性化されていない状況で、食料品価格の上昇やエネルギー価格が高騰している現在の状況は企業の業績悪化、賃金上昇の抑制の悪循環を招きかねないのではないでしょうか。

日銀は従来、物価は「プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる」との見方を示してきたものの、その実態は果たしてどのようなものか検証します。

 

まずはCPI(消費者物価指数)について理解しましょう。

以下の3つに大別されます。

 

・CPI:消費者物価指数(総合)

・コアCPI:消費者物価指数(酒類を以外の食品を除く総合)

・コアコアCPI:消費者物価指数(酒類以外の食品及びエネルギーを除く総合)

 

全体の指標以外にも、生鮮食品は天候の影響を受けやすく価格変動が大きいため、生鮮食品を除いた「コアCPI」という指標があります。

さらに、生鮮食品に加えて市況などによる影響を受けやすいエネルギーも除いた「コアコアCPI」という指標があります。

コアコアCPIが物価変動を把握しやすく、実態を反映していると考えられます。

 

総務省が7月20日に公表した2018年6月の消費者物価指数に関するデータによれば、コアCPIは前年比0.8%(5月:同0.7%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント上昇しました。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.56%(5月:0.44%)、食料(生鮮食品を除く)が0.18%(5月:0.25%)、その他が0.05%(5月:0.00%)となります。

コアCPIの上昇をもたらしたのはエネルギー価格の上昇が主な要因です。

 

コアコアCPIについては、6月の東京都区部では前年比0.2%から同0.4%へと上昇が見られたものの、全国では前年比0.2%(5月:同0.2%)と3ヵ月連続で伸びが鈍化しているのが現状です。

つまり、エネルギーの寄与が大きく、実際に物価の上昇はさほど見られません。

 

このように、物価上昇の伸びの実態は低いレベルであり、インフレによる好循環はまだ期待できない状況です。

賃金は上昇していますが、エネルギー価格の上昇の影響により消費に回す費用の捻出が難しくなるのであれば、物価上昇、景気の回復はまだ先になりそうです。

 

原油価格上昇の影響が遅れて反映される電気代、ガス代を中心にエネルギー価格の上昇率が高まることから、コアCPIは今後も上昇する見込みですが、コアコアCPIはどうなるのでしょうか。

やはり物価変動の実態はコアコアCPIで判断すべきでしょう。

コアCPIの伸びに比べてコアコアCPIのそれが大きく下回るならば、国民の暮らしは厳しいものになっているという解釈でよいでしょう。

エネルギー関連価格の上昇が家計に与える影響は大きいと考えられます。

 

しかし、この物価の上昇が見られない今投資を積極的に行えば、インフレ時には資産価値の上昇が期待できるのではないでしょうか。

先を見越して積極的な投資を行うのに適した時期ではないかと思います。

なぜ国はインフレにしたいのか 生活に与える影響は

日銀の政策として、インフレ率2%を目標としていることについてはこれまでの記事で触れてきました。

現金主義は安全か? インフレ率2%でどのように変わるのか」の記事の中で、インフレにしたい理由について少し触れていますが、今回の記事ではその理由についてさらに詳しく考察します。

 

まずは円高トレンドの解消についてです。

日本はバブル崩壊以降、20年以上の長期間デフレの状態が続いていました。

欧米ではインフレ率2%を目標としていたため、外国のインフレ率が長期間デフレの状態の日本のインフレ率を上回る状況が長期間続いていました。

インフレ率が高い通貨は安くなるため、相対的に日本の円は高くなります。

海外のインフレ率に合わせて2%を目標とし、円高傾向から脱するのが目的と考えられます。

円高は輸出企業の業績を悪化させます。

日本は輸出企業の割合が大きいため、日経平均は下がります。

インフレ率を他国と同程度にすることで円高トレンドを解消し、日本の株価上昇、景気回復を目的としていると考えてよいでしょう。

 

次に財政の健全化が考えられます。

物価が上がるということは、同じ物を買うのにそれまでより多くお金を払うことになります。

例えば、今まで100円で買ことができていた物に120円払わなければ買うことができなくなります。

つまり、お金の価値が下がるということです。

インフレにより、金額は変わらなくても実質的に国の借金を減らすことができます。

 

さらに、公的年金の実質的な支給額を下げるという目的も考えられます。

2004年、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド)を導入しました。

この仕組みの導入により、物価や賃金の上昇率よりも給付額の上昇率は低く抑えられます。

2025年頃までは上昇率は物価や賃金の上昇率よりも年平均0.9%低く抑えられる見込みです。

今後はインフレによる物価の上昇率よりも給付額の上昇率を低くするため、実質的な年金給付額の引き下げと解釈することができます。

 

以上、国がインフレ率2%を目標とする理由について簡単に解説しました。

この目標は2013年から掲げられていたものですが、5年程経過した2018年6月現在はどのように変化しているのかを解説した記事を掲載していますので、ぜひご覧ください。

 

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インフレ傾向にあるが、その実態は・・・ 2018年6月

公的年金制度の仕組み なぜ賦課方式なのか

今回は、以前「なぜ国はiDeCoやつみたてNISAの積極的な利用を勧めるのか②」の記事の中で少し触れた公的年金制度について部分的に解説します。

 

公的年金は2階建て構造をしています。

20歳以上60歳未満の全ての国民が加入する国民年金(基礎年金)と、公務員や会社員が加入する厚生年金の2階建てです。

詳しい仕組みについては、ネットで検索すればいくらでも出てきますからそちらを参考にしてください。

今回は公的年金が「賦課方式」である理由について解説します。

 

以前の記事では公的年金は「賦課方式」であると解説しました。

改めて解説すると、賦課方式とはその時の現役世代から合法的に搾取した保険料が原資となり、年金受給世代に分配されるという仕組みのことです。

自分の老後のために積み立てていると勘違いしている方も多いのですが、まずはこの根本的な仕組みを理解しましょう。

現代の若者世代にとっては、少子高齢化のこの時代に保険料を散々搾り取られたにも関わらず、自分たちが年金を受け取る頃には搾取された分を考えると受け取る額が少なく、損をしてしまうのではないかと思われます。

確かにその通りではあるのですが、単純に積み立て方式だとあるリスクがあり、このリスクは賦課方式によって回避できます。

それは、物価の変動による資産価値低下です。

積み立て方式の場合、物価が上がれば相対的に積み立ててきたお金の価値が下がります。

そのため、物価が上昇し過ぎると、それまで積み立ててきたお金では老後の生活が困難になるかもしれません。

現在の100万円と数十年後の100万円の価値は恐らく違うでしょう。

このような物価の変動のリスクを避けるために賦課方式という仕組みで運用されているのです。

賦課方式であれば現役世代の保険料が原資となるため、物価が上昇した分保険料も増えるため、物価の影響が補正されその時代の生活水準に見合った金額が給付されるということです。

物価の変動による資産価値の変化については、次の記事で解説しています。

 

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