物価は上がっているという印象はあるでしょうか。
確かに災害や猛暑の影響で一部の食料品の価格は上がっています。
さらに、ガソリンや電気代などのエネルギー関連の上昇が目立ちます。
このようなインフレは望ましいインフレと言えるのでしょうか。
現在の状況はスタグフレーション(経済が停滞しているにも関わらず、物価が上昇すること)とまでは言いませんが、好ましくないと考えます。
経済が活性化されていない状況で、食料品価格の上昇やエネルギー価格が高騰している現在の状況は企業の業績悪化、賃金上昇の抑制の悪循環を招きかねないのではないでしょうか。
日銀は従来、物価は「プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる」との見方を示してきたものの、その実態は果たしてどのようなものか検証します。
まずはCPI(消費者物価指数)について理解しましょう。
以下の3つに大別されます。
・CPI:消費者物価指数(総合)
・コアCPI:消費者物価指数(酒類を以外の食品を除く総合)
・コアコアCPI:消費者物価指数(酒類以外の食品及びエネルギーを除く総合)
全体の指標以外にも、生鮮食品は天候の影響を受けやすく価格変動が大きいため、生鮮食品を除いた「コアCPI」という指標があります。
さらに、生鮮食品に加えて市況などによる影響を受けやすいエネルギーも除いた「コアコアCPI」という指標があります。
コアコアCPIが物価変動を把握しやすく、実態を反映していると考えられます。
総務省が7月20日に公表した2018年6月の消費者物価指数に関するデータによれば、コアCPIは前年比0.8%(5月:同0.7%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント上昇しました。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.56%(5月:0.44%)、食料(生鮮食品を除く)が0.18%(5月:0.25%)、その他が0.05%(5月:0.00%)となります。
コアCPIの上昇をもたらしたのはエネルギー価格の上昇が主な要因です。
コアコアCPIについては、6月の東京都区部では前年比0.2%から同0.4%へと上昇が見られたものの、全国では前年比0.2%(5月:同0.2%)と3ヵ月連続で伸びが鈍化しているのが現状です。
つまり、エネルギーの寄与が大きく、実際に物価の上昇はさほど見られません。
このように、物価上昇の伸びの実態は低いレベルであり、インフレによる好循環はまだ期待できない状況です。
賃金は上昇していますが、エネルギー価格の上昇の影響により消費に回す費用の捻出が難しくなるのであれば、物価上昇、景気の回復はまだ先になりそうです。
原油価格上昇の影響が遅れて反映される電気代、ガス代を中心にエネルギー価格の上昇率が高まることから、コアCPIは今後も上昇する見込みですが、コアコアCPIはどうなるのでしょうか。
やはり物価変動の実態はコアコアCPIで判断すべきでしょう。
コアCPIの伸びに比べてコアコアCPIのそれが大きく下回るならば、国民の暮らしは厳しいものになっているという解釈でよいでしょう。
エネルギー関連価格の上昇が家計に与える影響は大きいと考えられます。
しかし、この物価の上昇が見られない今投資を積極的に行えば、インフレ時には資産価値の上昇が期待できるのではないでしょうか。
先を見越して積極的な投資を行うのに適した時期ではないかと思います。