一部の大企業がほとんど法人税を納めていない現実と制度
一部の大企業は、利益に対して納めている法人税が圧倒的に少ない。
トヨタが5年間も法人税を納めていなかったのは有名で、社長の自慢げな発言や新聞広告からも、カネに汚く自分の利益しか考えていない厭らしさを在り在りと感じる。
非常に賢く、適切な経営判断ができているということでもある。
節税上手なのは悪いことではない。
法を犯しているわけではなく合法なのだから、別に問題ではない。
決められた枠組みの中で最適な選択をしているのだ。
世の中の大部分の人は文句を言うだけで何も考えていないし、行動していない。
例えば、年金問題にしてもそうだ。
将来、年金がそれほど受け取れないなら保険料を払いたくないという声は多い。
しかし、社会保険料の合法的な搾取を免れることはできない。
税金も同様だ。
どうせ政治家や官僚が私腹を肥やすために使われるなら、税金なんか払いたくないと考える人は多い。
その考えに至るのは当然なのだが、合法的な搾取を免れることはできないし、制度を変えることもできない。
それならば、その制度や枠組みの中で最も損をしない方法を考えて実践した方が賢明だろう。
文句を言うよりも、法や制度について学び、よく理解した上で、その中での最適解を導くことのできる人は賢いのである。
参考までに、この記事の最後に節税や社会保険料を安く抑える方法について解説した関連記事を示すので、興味のある方は参照していただきたい。
話を戻すが、トヨタは5年間も法人税を納めていなかったのである。
社員の長時間労働や低賃金の非正規労働者の犠牲の上で、さらに下請けの企業に無理な要求をして犠牲を強いた上で莫大な利益を上げてきたにもかかわらず、法人税の納税を免れていたのである。
なぜ免れることができたのか。
それは2009年度税制改正において導入された、外国子会社配当益金不算入という制度が大きく関係する。
二重課税を嫌って、外国の子会社が儲けた金を内部留保として溜め込んでしまうと日本の経済が活性化しない。
そこで、剰余金の配当等の額の95%に相当する金額を益金不算入とすることによって、ほとんど課税されないようにしたのである。
この制度によって日本に金を移動させようとしたのだが、ここで問題となるのがtax haven(タックス・ヘイヴン)である。
現地で儲けた分は現地で課税されるため、日本に金を移す際に二重課税を避けるのがこの制度の目的であるが、タックス・ヘイヴンであれば現地での法人税がかなり安く抑えられる。
そして日本でもほとんど課税されないため、儲けの大部分が残るのである。
日本は世界でも屈指の法人税の高さで知られ、トップ争いをしている現在の実効税率は30%程度である。
これでも昔に比べると随分低くなったものだが、アメリカが大幅な減税に舵を切ったこともあり、外国で儲けを出せば基本的に法人税は安くなる。
トランプ政権になり、トップだったアメリカが21%まで大幅に減税したのは大きな衝撃だ。
発展途上国では人件費が安いこともあり、法人税率の低い海外で生産した方が儲けは多くなり、この制度によって法人税がかなり安く抑えられているのだ。
内需の低下によりターゲットは外国となり、国内で生産して輸出する形態から、海外に工場をつくり現地で生産する形態になったトヨタにとっては最高の制度であり、タイミング的にもトヨタのために作られた制度であると指摘する有識者もいるほどである(恐らくそうだろう)。
トヨタに限ったことではないが、日本の大企業の中には、儲けに対して納めている法人税が圧倒的に少ない企業もある。
税引き前の純利益が数百億円とか、桁がもう一つ大きくても実際に納めている法人税は数億円なんてケースもある。
一般国民の生活は苦しくなる一方で、経営陣だけで儲けを独占し、内部留保を溜め込んでいるのが実態だ。
なぜ、このような一部の大企業を大きく優遇するような制度を作ってしまったのか。
この本質的な理由を考察することによって、労働者の悲惨な未来が見えてくる。
カネに汚い政治家と大富豪のwin-winな関係性から制度は作られる
政治家はカネに汚い。
カネに汚い政治家の不祥事に関するニュースなんか見飽きただろう。
自動車業界と自由民主党の癒着がエグいのはご存知だろうか。
2017年の政治資金収支報告書によれば、自民党への政治献金は自動車業界全体で3億を超える。
企業別の政治献金が最も多いのはトヨタで、6440万円だ。
つまり、トヨタは自民党にとって最大のスポンサーなのである。
因みに、日産やスバルも3000万円程度の政治献金をしている。
さらに驚くべきことに、トヨタは法人税を納めていなかった期間も自民党にしっかりと政治献金をしていたのである。
この自民党とベッタリの関係性によって、トヨタをはじめとする自動車業界に非常に有利な税制度になってしまったのである。
納税されたところで、そのカネは自民党のものになるわけではない。
自分達が自由に使えるカネが手に入るからこそ、意味があるのだ。
トヨタにとっても、数千万円の政治献金によって節税できる金額は桁がいくつも多く、かなり安上がりで済む。
あくまで、表に出ている数字が全てであればという話だが。
研究開発費の税額控除など、外国子会社配当益金不算入以外にもトヨタの為に作られた制度なのではないかと思われる制度があり、政治とカネの問題は闇が深いのである。
よく尻尾を振る犬に対してこそ、主人は良質なエサを大量に与えたくなるものだ。
昔から国家と一部の富裕層の為に制度は作られるものである。
この記事のこれまでの内容が理解できる方であれば、学校教育が国家と一部の富裕層の為に存在するという関連記事の解説も納得できるだろう。
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自民党と経済界の癒着から、労働者の悲惨な未来が見える
これまでの記事の内容を補足しながら簡単にまとめると、自動車業界を中心として経済界から多額の政治献金がなされており、自民党政治は政治献金の多い業界や企業に対して有利になるような税制に改めてきたということである。
この事実と経済界の重鎮の発言、経済界の意向から、労働者の未来について考える。
経団連会長やトヨタ社長の「終身雇用の維持は難しい」という趣旨の発言は大きな話題となり、若者に将来に対する大きな不安を抱かせた。
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経団連会長「終身雇用もう守れない」 早期退職制度の実態と若者の働き方の最適解
終身雇用や年功序列の崩壊はわかりきってはいたが、経済界の重鎮が明確に発言したことが大きいのである。
既に大企業では早期退職制度による45歳以上の社員の追い出しが始まっていて、45歳定年説なるものが登場した。
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経済界の重鎮が発言した内容と、大企業が早期退職制度による追い出しを行っているという状況証拠から、今後どのような変化が予想されるのか。
それは、安定を奪われるということだ。
現在はしっかりと守られている労働者の雇用が守られず、簡単に人を切ることのできるように法を整備する動きが出てくるのではないかと考えられる。
現在は、人をクビにすることは非常にハードルが高い。
このハードルを低くして、簡単に人をクビにできるように法を整備するのではないかと懸念している。
すると、この国の労働者の未来は悲惨なものになる。
バブル崩壊以来、非正規労働者が増え、低賃金で使われた上に会社の都合で簡単にクビを切れらてきたが、次なるターゲットは正規雇用の社員ということだ。
経団連が約1500の会員企業・団体に対して政治献金を呼びかけているという事実が、労働者を使い捨てにする未来を容易に想像させる。
早期退職制度の実態を鑑みても、人を簡単に切れるようにしたいというのは経済界の総意であろう。
将来的に年金だけでは約2000万円不足する(実際には2000万円では全然足りないと考えられる。関連記事を参照。)という報告書の問題で国民の将来に対する不安は非常に大きくなっているが、45歳でクビを切られてしまっては老後を迎える前に破産するかもしれない。
人件費高騰、人手不足を背景として急速に機械による自動化は進み、クリエイティビティの低い人は仕事が無くなってしまうかもしれない。
70歳まで働く時代とか言われるが、45歳定年説が現実味を帯びてきてしまっている。
仮に70歳まで働くとして、待っている現実はどのようなものか。
例えば、ある企業では、年収1000万円以上だった部長が年収300万円にも満たないライン工として気の狂いそうな単純作業をしているそうだ。
最低賃金程度で、つまらない仕事を延々とこなすのは苦痛だろう。
60歳を過ぎて働く場合、追い出し部屋のような場所で苦痛な仕事を押し付けられて、自主的に辞めるように追い込まれるケースが多いそうだ。
現在の自民一強では国家の為に、そして一部の富裕層、上級国民が私腹を肥やすために法が整備され、一般国民は容易に切り捨てられる未来が待っているのだ。
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最後に、税や社会保険料、資産形成に関する記事を示したので興味のある方はご覧いただき、賢い選択をしていただきたい。
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